電車で突然、目の前が真っ暗に…動悸・吐き気で倒れた高校生を東洋医学から考える

体調が悪くて横になっている女子高校生の画像

電車の中で突然目の前が真っ暗になり、動悸や吐き気が出てホームで倒れた女子高校生。来院時にみられた強いむくみ、足の冷え、お腹の張り、夏休み明けの疲労と脈の状態から、木氣治療室が西洋医学と東洋医学の両面から身体全体を考えます。

結論|「電車で倒れた」という症状だけではなく、その前から身体に何が起きていたのかを見る

電車に乗っていたら、

突然、目の前が真っ暗になった。

心臓がドキドキする。

気持ち悪い。

立っていられなくなり、

何とかホームへ降りたものの、

そこで倒れてしまった。

今回紹介するのは、

実際に木氣治療室へ来院された女子高校生の症例です。

電車の中でこのような症状が起こると、

「自律神経が乱れたのかな?」

「貧血かな?」

「起立性調節障害?」

「パニック発作なのかな?」

など、

いろいろなことを考えると思います。

しかし、

一つの症状だけから原因を決めることはできません。

今回、

私が特に気になったのは、

電車の中で起きた動悸や気持ち悪さだけではありませんでした。

来院時には、

足のむくみがかなり強く、足先も冷えていました。

さらに、

お腹の張り

もありました。

生活について聞いていくと、

夏休みが終わって学校生活が再開し、

最近は疲れていたとのことでした。

そして脈を確認すると、

「虚労寒湿」。

五臓では、

「脾」の弱りがみられました。

今回の症例で大切なのは、

「電車で倒れたから電車の問題」

「動悸が出たから心臓だけの問題」

「気持ち悪かったから胃だけの問題」

と一つずつ切り離さないことです。

なぜ、その日に身体が耐えられなくなったのか。

症状が起こるまでの身体の変化も含めて見る必要があると考えました。

症例|夏休み明けの女子高校生

今回来院されたのは、

女子高校生です。

夏休みが終わり、

学校生活が再開したばかりの時期でした。

本人に話を聞くと、

最近は学校が始まったことで、

疲れを感じていたとのこと。

そしてある日、

電車に乗っている途中で、

突然目の前が真っ暗になりました。

同時に、

動悸。

気持ち悪さ。

が出現。

そのまま電車に乗り続けることが難しくなり、

ホームへ移動しました。

そして、

ホームで倒れてしまいました。

こうした経過を聞くと、

どうしても「倒れた」という出来事に目が向きます。

しかし、

鍼灸の臨床で私が確認したいのは、

その瞬間だけではありません。

その前の数日。

数週間。

どのように過ごしていたのか。

身体に何か変化はなかったのか。

ここまで遡って考えます。

来院したときには動悸や吐き気はなかった

木氣治療室へ来院した時点では、

電車の中で起きた、

目の前が真っ暗になる。

動悸。

気持ち悪さ。

といった症状はありませんでした。

その代わり、

身体を確認して目立っていたのが、

強い足のむくみと冷え

でした。

さらに問診では、

お腹の張りも確認できました。

つまり、

来院時だけを見れば、

「電車で倒れた高校生」

という印象とは少し違います。

本人が強く感じた症状がなくなっていても、

身体には別の変化が残っていました。

私は、

ここを非常に重要だと考えています。

症状が消えたから「もう大丈夫」とは限らない

目の前が真っ暗になった。

動悸がした。

気持ち悪くなった。

しかし、

しばらくしたら治った。

このような場合、

本人も周囲も、

「もう大丈夫かな」

と思うかもしれません。

もちろん、

一時的な体調変化で終わることもあります。

しかし、

症状が消えたことと、

身体が完全に元の状態へ戻ったことは同じではありません。

今回も、

動悸や気持ち悪さは消えていました。

それでも、

足には強いむくみがあり、

冷えもありました。

お腹も張っていました。

だからこそ、

「今は症状がない」

だけではなく、

身体に何が残っているのか

を見る必要があります。

目の前が真っ暗になって倒れる原因は一つではない

ここは非常に大切です。

目の前が暗くなり、

動悸や吐き気を伴って倒れたからといって、

東洋医学だけで原因を決めることはできません。

失神や失神に近い症状には、

さまざまな原因があります。

例えば、

血圧の変化。

脱水。

食事量の不足。

貧血。

低血糖。

長時間立っていることによる反応。

自律神経に関係する問題。

心臓や循環器に関係する問題。

などです。

高校生では、

起立性調節障害などが関係することもあります。

そのため、

「高校生だから大丈夫」「疲れていただけ」

と自己判断しないことが重要です。

鍼灸で身体を見ることと、

医学的に原因を確認することは、

どちらか一方を選ぶものではありません。

女子高校生では月経や食事の状態も確認したい

女子高校生の場合には、

月経についても確認しておきたいところです。

月経量が多い。

月経期間が長い。

食事量が減っている。

偏った食事が続いている。

過度なダイエットをしている。

こうした背景がある場合には、

鉄欠乏や貧血などが関係する可能性もあります。

目の前が暗くなる。

動悸。

息切れ。

疲れやすい。

立ちくらみ。

顔色が悪い。

などがある場合には、

「自律神経かな」

だけで済ませず、

必要に応じて医療機関で相談することが大切です。

では、東洋医学では何を見るのか?

医学的な評価が必要であることを前提として、

東洋医学では、

また別の角度から身体を見ていきます。

今回、

私が注目したのは、

「電車で倒れた」

という出来事だけではありません。

その背景にあった、

疲労

むくみ

足の冷え

お腹の張り

です。

一見すると、

それぞれ別の症状に見えるかもしれません。

しかし東洋医学では、

これらを一つずつ切り離さず、

身体全体で起きている変化として考えます。

脈は「虚労寒湿」

脈を確認すると、

今回の身体は、

「虚労寒湿」

という状態でした。

一般の方には、

聞き慣れない言葉だと思います。

簡単に分けると、

「虚」は、

身体に必要な働きが不足している状態。

「労」は、

疲労や身体への負担が積み重なっている状態。

「寒」は、

冷えの影響。

「湿」は、

身体の中で水分がうまく巡らず、

停滞しているような状態。

と考えると、

イメージしやすいと思います。

今回の女子高校生では、

実際の身体にも、

疲労。

足の冷え。

強いむくみ。

お腹の張り。

がありました。

問診で聞いたこと。

身体を触って分かったこと。

脈から読み取ったこと。

これらが、

バラバラではなく、

一つの身体の状態としてつながって見えてきました。

五臓では「脾」が弱っていた

さらに五臓では、

「脾」の弱りがみられました。

東洋医学でいう脾は、

西洋医学の脾臓そのものを指すわけではありません。

食べたものから、

身体に必要なものを作る。

それを全身へ運ぶ。

身体の水分を適切に巡らせる。

こうした働きと関係すると考えます。

脾の働きが弱ると、

身体に必要なものを十分に作れなくなったり、

水分が停滞したりすることがあります。

その結果として、

疲労感。

身体の重さ。

むくみ。

お腹の張り。

食欲の変化。

軟便。

などが現れることがあります。

今回、

来院時に特に目立っていた、

むくみと腹部の張り

は、

脾の状態を考えるうえでも重要な情報でした。

「虚労」とは単なる疲れではない

今回の脈にみられた、

「虚労」。

単純に、

「今日は疲れた」

という状態だけではありません。

東洋医学では、

身体が消耗し、

本来の働きを十分に発揮しにくくなっている状態を考えます。

今回の患者さんは、

夏休みが終わり、

学校生活が再開していました。

朝起きる。

準備をする。

電車に乗る。

授業を受ける。

人と関わる。

部活動や勉強をする。

帰宅する。

そして翌日、

また学校へ行く。

大人から見ると、

普通の学校生活に見えるかもしれません。

しかし、

夏休み中とは身体への負荷が大きく変わります。

本人も、

最近は疲れていたと話していました。

その「疲れていた」という一言も、

今回の身体を考えるうえでは、

大切な情報です。

夏休み明けは身体にとって大きな環境変化

夏休み明けの高校生では、

単純に、

「学校が始まった」

だけではありません。

起床時間が早くなる。

通学が再開する。

電車に乗る時間が増える。

授業を受ける時間が増える。

部活動がある。

友人や先生との関わりが増える。

勉強や試験を意識する。

夜の過ごし方も変わる。

こうした変化が、

一度に起こります。

さらに、

夏休み明けは、

まだ暑さが残っている時期です。

夏の暑さによる疲れを十分に回復できないまま、

学校生活が始まることもあります。

つまり、

夏に消耗した身体に、新学期の生活負荷が重なる

可能性があります。

今回も、

「夏休み明け」

という情報を、

単なる時期の説明としてではなく、

身体の状態を変化させる背景の一つとして見ています。

「疲れる→休む」だけでは身体を説明できないことがある

疲れているなら、

休めばいい。

もちろん、

休養は重要です。

しかし身体が回復するためには、

休むだけではなく、

食事。

睡眠。

水分。

体温調節。

など、

さまざまな働きが必要です。

例えば、

胃腸が十分に働いていなければ、

食事をしていても、

身体の回復が追いつかないことがあります。

今回、

お腹の張りがあったことも、

脾の状態を考える材料の一つになりました。

単純に、

「学校が始まって疲れただけ」

ではなく、

疲労から回復するための身体の働きそのものが落ちていなかったか

という視点で見ていきます。

脾と「湿」の関係

今回、

非常に特徴的だったのが、

強いむくみです。

東洋医学では、

脾は身体の水分を適切に運ぶ働きとも関係すると考えます。

この働きが低下すると、

身体の中で水分がうまく巡らず、

余分な水分が停滞することがあります。

これを、

「湿」

として捉えることがあります。

湿が停滞すると、

・むくむ
・身体が重い
・頭が重い
・胃が重い
・お腹が張る
・軟便になる

などがみられることがあります。

今回、

来院時に足のむくみがかなり強かったことは、

脈に現れていた「湿」とも一致する身体所見でした。

「むくんでいるのに足が冷たい」のはなぜ?

今回、

むくみと同時に、

足の冷えも強くみられました。

「水分がたまっていること」と、

「身体が冷えていること」は、

別の問題のように感じるかもしれません。

しかし東洋医学では、

この二つが一緒に現れることがあります。

身体を温め、

水分を巡らせるためにも、

身体の働きが必要です。

その働きが低下すると、

水分がうまく動かない。

下半身に停滞する。

さらに、

末端まで十分に温めにくくなる。

すると、

「むくんでいるのに冷たい」

という状態が起こることがあります。

今回の脈が、

単なる「湿」ではなく、

「寒湿」

だったことも重要でした。

「寒湿」とは?

寒湿とは、

簡単にいうと、

冷えと水分の停滞が重なっている状態

と考えるとイメージしやすいと思います。

湿の影響では、

身体が重い。

むくむ。

お腹が張る。

などがみられることがあります。

そこへ寒が加わると、

足が冷たい。

お腹が冷える。

温めると楽に感じる。

軟便になりやすい。

といった特徴が現れることがあります。

今回の患者さんでは、

来院時に足の冷えがはっきりしていました。

そのため、

むくみだけを見るのではなく、

そのむくみが「冷え」を伴っている

ことも重要な身体所見でした。

お腹の張りも別の症状として考えない

もう一つ、

今回気になったのが、

お腹の張りです。

高校生で、

電車の中で目の前が真っ暗になり、

動悸や吐き気が出た。

この出来事だけを見ると、

お腹の張りは関係ないように見えるかもしれません。

しかし、

脾の働きを考えると、

そうとも限りません。

東洋医学では、

脾胃の働きが低下し、

食べたものや水分をうまく処理できなくなると、

腹部の張りが現れることがあります。

今回の身体には、

むくみ。

足の冷え。

疲労。

お腹の張り。

脾の弱り。

寒湿。

という特徴がありました。

それぞれを別々に考えるより、

一つの身体の中で同時に起きている変化

として見ることで、

身体の状態を考えていきました。

「むくみ=水を飲み過ぎた」とは限らない

むくんでいると、

「水分を取り過ぎたのかな?」

と思う方もいます。

しかし、

むくみ=水分の取り過ぎ、

とは限りません。

水分摂取量が多くなくても、

身体の中で水分を適切に扱えなければ、

むくみが出ることがあります。

東洋医学では、

「どれだけ水分が入ったか」

だけではなく、

入ってきた水分を身体がどう動かしているのか

を考えます。

そのため、

むくんでいるからと、

自己判断で水分を極端に減らすことはおすすめしません。

特に暑さが残る時期では、

水分を減らし過ぎることが、

別の問題につながる可能性もあります。

高校生の強いむくみを軽く考えない

今回のように、

むくみがかなり強い場合には、

「東洋医学では湿ですね」

だけで終わらせるべきではありません。

むくみには、

生活習慣だけではなく、

腎臓。

心臓。

肝臓。

甲状腺。

血管。

薬剤。

などが関係する場合もあります。

高校生だから、

大きな問題はないだろう。

と年齢だけで判断することもできません。

特に、

むくみが続く。

急に強くなった。

片足だけ強くむくむ。

息苦しさがある。

尿量が大きく変わった。

顔までむくむ。

体重が急に増えた。

といった変化がある場合には、

医療機関での評価が必要です。

「動悸があったから心」とは考えない

今回、

電車の中では動悸もありました。

東洋医学を少し知っていると、

「動悸なら心では?」

と思うかもしれません。

しかし、

症状と五臓を一対一で結びつけるわけではありません。

動悸がある。

だから心のツボ。

吐き気がある。

だから胃のツボ。

むくんでいる。

だから水分のツボ。

という考え方では、

身体全体のつながりが見えなくなってしまいます。

今回、

脈を確認したときに中心としてみられたのは、

「脾」の弱りでした。

だからこそ、

本人が最も不安に感じた動悸だけに引っ張られず、

身体全体を見る必要がありました。

「電車で起きた=精神的な問題」とも決めつけない

症状が電車の中で起きたことも、

注意して考える必要があります。

電車で、

動悸。

吐き気。

目の前が暗くなる。

という症状が出ると、

不安やパニックとの関係を考えることがあります。

実際、

不安や緊張によって似た症状が起こることはあります。

しかし、

「電車で起きた=精神的な問題」

と決めつけることはできません。

今回、

身体には、

強いむくみ。

足の冷え。

お腹の張り。

疲労。

という変化があり、

脈にも変化がみられました。

だからこそ、

精神面だけに原因を求めるのではなく、

身体的な要因も含めて考える必要があります。

反対に、

身体だけの問題だと決めつけることもしません。

一度倒れると「また電車で倒れるかも」という不安につながることがある

今回のような経験をすると、

身体の症状が落ち着いたあとも、

「また電車で気持ち悪くなったらどうしよう」

「途中で降りられなかったらどうしよう」

「また倒れたらどうしよう」

という不安が生まれることがあります。

すると、

電車へ乗る前から緊張する。

心拍が上がる。

少し気持ち悪くなる。

その身体感覚を感じて、

さらに不安になる。

という循環につながることもあります。

最初から、

「パニックだ」

と決めつける必要はありません。

しかし、

身体が回復したあとに、

電車への不安だけが残っていないか

を見ることも大切です。

高校生では、

通学のために毎日電車を使うことがあります。

不安が強くなれば、

学校生活そのものへ影響する可能性があります。

木氣治療室では何を目的に施術したのか?

今回、

来院した時点では、

動悸や吐き気はありませんでした。

そのため、

「動悸を止める」

「吐き気を取る」

ということだけを目的にはしていません。

身体に残っていた、

むくみ。

足の冷え。

お腹の張り。

そして、

脈で確認した虚労寒湿・脾の弱り。

こうした情報をもとに、

症状が起きたときの身体の土台を整えていく

という考え方で施術を組み立てました。

「脾虚だから脾のツボ」でもない

今回、

五臓では脾の弱りがみられました。

だからといって、

「脾虚だから脾のツボを使えばいい」

という単純なものではありません。

脈。

身体の冷え。

むくみ。

腹部の状態。

疲労の程度。

その日の体調。

こうした情報を合わせて、

どこへ、

どのくらい刺激するのかを考えます。

同じ脾虚でも、

患者さんによって身体は違います。

また、

同じ患者さんでも、

次回来院したときには、

脈が変わっていることがあります。

症状名からツボを決めるのではなく、

その日の身体を診て施術を組み立てる

ことを大切にしています。

「虚」がある身体では刺激量も重要

今回の脈には、

「虚労」

がありました。

身体に疲労や消耗があると考えられるとき、

強い刺激をたくさん加えれば、

それだけ身体が元気になるとは限りません。

むしろ、

刺激そのものが負担になることもあります。

特に、

高校生。

疲労が強い方。

体調を大きく崩した直後。

こうした場合には、

身体の反応を確認しながら、

刺激量を考えることが重要です。

木氣治療室では、

鍼を深く刺すことだけを施術とは考えていません。

散鍼やていしんなども用いながら、

身体に合わせて刺激量を調整します。

大切なのは、

どれだけ強く刺激したかではなく、その日の身体に必要な刺激だったか

ということです。

「むくみを取る」ことだけが目的でもない

来院時には、

足のむくみがかなり強くみられました。

だからといって、

「むくみを取れば治療終了」

ではありません。

むくみは、

身体の状態が表面に現れた一つの結果として考えます。

なぜ水分がそこに停滞しているのか。

その背景を見る必要があります。

今回の場合、

脾の弱り。

疲労。

冷え。

湿。

が一緒にみられました。

そのため、

単純に水分を外へ出すことだけではなく、

身体が水分を適切に巡らせられる状態へ戻っていくこと

を考えます。

お腹の張りや足の冷えについても、

同じように身体全体の中で考えます。

施術後に確認したいのは「電車に乗れたか」だけではない

今回の症例では、

今後の経過が非常に重要です。

もちろん、

再び電車に乗ったときに、

目の前が暗くならないか。

動悸が出ないか。

気持ち悪くならないか。

倒れないか。

ということは確認します。

しかし、

それだけではありません。

次回来院したときには、

むくみはどうなったか。

足の冷えはどうか。

お腹の張りは減ったか。

学校へ行ったあとの疲れ方はどうか。

朝起きられているか。

食欲はあるか。

便通はどうか。

睡眠は取れているか。

そして、

脈がどう変化したか。

こうしたことも確認します。

毎回同じ施術をするとは限らない

初回が、

虚労寒湿・脾虚だった。

だから次回も、

同じ施術。

とは限りません。

身体は変化します。

疲労が回復する。

冷えが減る。

むくみが変化する。

一方で、

別の症状が出てくることもあります。

そのため、

木氣治療室では、

毎回脈を確認します。

初回の状態へ身体を当てはめ続けるのではなく、

その日の身体に合わせて施術を変える

ことを大切にしています。

高校生が夏休み明けに体調を崩さないためにできること

今回のような症状が起こった場合には、

原因の確認が最優先です。

そのうえで、

普段の身体を回復させるために、

生活を見直すことも大切です。

特に確認してほしいのが、

睡眠。

食事。

水分。

疲労。

冷え。

です。

① まず睡眠時間を確認する

夏休み中に、

寝る時間が遅くなった。

朝起きる時間も遅くなった。

という高校生は少なくありません。

そこから学校が始まると、

就寝時間は変わらないのに、

起床時間だけが急に早くなることがあります。

すると、

本人は普通に生活しているつもりでも、

睡眠時間は短くなります。

朝起きるのがつらい。

授業中に眠い。

帰宅するとすぐ寝てしまう。

休日は昼まで眠っている。

こうした変化がある場合には、

睡眠を一度見直してみてください。

「何時間寝たか」だけではなく、

朝起きたときに回復した感じがあるか

も大切です。

② 朝食を取れているか確認する

朝、

時間がない。

食欲がない。

ギリギリまで寝ていたい。

そのため、

朝食をほとんど取らずに学校へ行く高校生もいます。

通学中に気分が悪くなった場合には、

その日の食事や水分摂取の状況も確認しておきたいところです。

ただし、

朝から食欲がない方へ、

無理に大量の食事を取らせる必要はありません。

なぜ朝食を取れないのか。

夜遅く食べている。

睡眠不足。

起床時間が遅い。

朝から胃が重い。

食欲そのものが落ちている。

こうした背景も見てください。

③ 水分は朝から少しずつ取る

暑さが残る時期には、

通学だけでも汗をかきます。

駅まで歩く。

自転車に乗る。

満員電車に乗る。

学校へ着くまでにも、

身体へ負担がかかります。

朝起きてからほとんど水分を取らず、

学校へ着いてから飲むのではなく、

起床後や朝食時から、

体調に合わせて水分を取るようにしてください。

ただし、

一度に大量の冷たい水を飲む必要はありません。

胃腸が弱く、

お腹が張りやすい方では、

少しずつこまめに取る方法もあります。

④ むくみがあるからと水分を極端に減らさない

今回の患者さんでは、

足のむくみがかなり強くみられました。

むくんでいるからといって、

自己判断で水分を極端に制限するのはおすすめできません。

むくみには、

さまざまな原因があります。

特に暑さが残る時期に、

水分を減らし過ぎれば、

脱水につながる可能性もあります。

強いむくみが続く場合には、

水を減らして様子を見るのではなく、

医療機関で相談してください。

⑤ 冷房による冷えも確認する

夏休み明けは、

外は暑くても、

電車。

学校。

塾。

自宅。

など、

長時間冷房の中で過ごすことがあります。

外では汗をかく。

電車に乗ると冷える。

学校でも冷房。

また外へ出て暑くなる。

こうした環境変化を、

一日に何度も繰り返します。

足の冷えが気になる方は、

冷房の風が直接当たり続けていないか。

薄着になり過ぎていないか。

汗で濡れた衣服のまま長時間過ごしていないか。

なども確認してみてください。

⑥ 「学校から帰るとぐったりする」も身体からのサイン

学校へ行けている。

授業も受けられている。

だから大丈夫。

とは限りません。

帰宅すると、

何もできないくらい疲れる。

すぐ寝てしまう。

夕食を食べる気力がない。

休日は一日中寝ている。

こうした状態が続いている場合、

学校生活を送るだけで、

かなり身体を消耗している可能性があります。

「学校へ行けているか」だけではなく、

学校へ行ったあとに、どのくらい疲れているのか

も見てみてください。

電車で「また気持ち悪くなりそう」と感じたら

もし電車の中で、

目の前が暗くなる。

ふらつく。

吐き気がする。

冷や汗が出る。

力が入らない。

といった症状を感じた場合には、

「あと一駅だから」

と無理をしないでください。

立っている場合には、

可能であれば早めに座る。

安全な場所へ移動する。

次の駅で降りる。

周囲の人や駅員へ助けを求める。

など、

まず転倒してけがをしないこと

を優先してください。

保護者の方に見てほしい「いつもとの違い」

高校生になると、

身体のことを親へ細かく話さなくなることもあります。

だからこそ、

保護者の方には、

病名を探すより、

「いつもとの違い」

を見てほしいと思います。

例えば、

以前より朝起きられない。

食事量が減った。

学校から帰るとすぐ寝る。

顔色が悪い。

足がむくんでいる。

手足が冷たい。

頭痛が増えた。

お腹の調子が悪い。

休日にずっと寝ている。

学校へ行く前に気持ち悪くなる。

電車へ乗るのを怖がるようになった。

こうした小さな変化です。

一つだけでは、

大きな問題ではないかもしれません。

しかし、

複数の変化が重なっている場合には、

一度身体の状態を確認してみてください。

セルフケアに使いやすいツボ

ここでは、

日常生活で使いやすいツボを紹介します。

ただし、

今回のように倒れるほどの症状があった場合、

ツボ押しだけで様子を見ることはおすすめしません。

セルフケアは、

必要な医学的評価や治療の代わりではありません。

足三里(あしさんり)

【場所】

膝のお皿の外側から、

指4本分ほど下。

すねの骨の少し外側にあります。

【こんなときに】

・疲れやすい
・胃腸の調子が悪い
・食欲が落ちている
・身体がだるい

足三里は、

胃腸や全身の調子を整える目的で、

古くから使われてきたツボです。

陰陵泉(いんりょうせん)

【場所】

すねの内側を下から上へたどり、

骨の形が大きく変わる膝の内側付近です。

【こんなときに】

・むくみが気になる
・身体が重い
・お腹が重い
・水分の巡りが気になる

東洋医学では、

脾や身体の水分の巡りと関係して使われることの多いツボです。

強いむくみが続いている場合には、

ツボ押しだけで対処せず、

医療機関へ相談してください。

三陰交(さんいんこう)

【場所】

内くるぶしの一番高いところから、

指4本分ほど上。

すねの骨の内側です。

【こんなときに】

・足の冷え
・疲労感
・女性の体調管理
・下半身の不調

強く押し込む必要はありません。

心地よい程度に、

ゆっくり刺激してください。

※妊娠中の方は、強い刺激を自己判断で行わず専門家へ相談してください。

ツボは「倒れそうなときの応急処置」ではありません

ここは、

特に大切です。

電車の中で、

目の前が真っ暗になる。

意識が遠のく。

倒れそうになる。

というときに、

「このツボを押せば大丈夫」

と考えないでください。

ツボを探すことより、

まず座る。

安全な場所へ移動する。

周囲へ助けを求める。

など、

転倒やけがを防ぐことを優先してください。

よくある質問

Q. 高校生が電車で目の前が真っ暗になるのは自律神経が原因ですか?

自律神経が関係する場合はありますが、

それだけが原因とは限りません。

血圧の変化。

脱水。

貧血。

食事量の不足。

低血糖。

起立性調節障害。

心臓や循環器に関係する問題。

など、

さまざまな原因が考えられます。

「高校生だから自律神経」

と自己判断しないことが大切です。

Q. 起立性調節障害なのでしょうか?

今回のような症状は、

起立性調節障害でもみられることがあります。

ただし、

症状だけから診断することはできません。

朝起きられない。

立ちくらみが多い。

長時間立っていると気分が悪くなる。

動悸がする。

頭痛がある。

学校生活へ影響している。

などが続く場合には、

医療機関へ相談してください。

Q. 電車で起きたのでパニック発作でしょうか?

電車のような場所で、

動悸や吐き気などが起こることはあります。

しかし、

「電車で起きた=パニック発作」

とは限りません。

まず身体的な原因を確認することが大切です。

一方、

一度強い症状を経験したあと、

電車への不安が強くなり、

通学へ影響する場合には、

その不安についても相談することをおすすめします。

Q. むくみと足の冷えは関係しますか?

東洋医学では、

身体の水分の巡りが低下している状態と、

冷えが同時に現れることがあります。

今回の症例でも、

脈では「寒湿」という状態がみられ、

実際に強いむくみと足の冷えがありました。

ただし、

むくみにはさまざまな医学的原因があるため、

強いむくみや長く続くむくみは、

東洋医学だけで判断しないことが重要です。

Q. 夏休み明けに体調を崩すのは珍しいことですか?

夏休み明けは、

睡眠時間。

起床時間。

通学。

学校生活。

部活動。

勉強。

など、

生活環境が大きく変化します。

さらに、

夏の暑さによる疲労が残っている場合もあります。

そのため、

体調を崩すきっかけになることはあります。

ただし、

「夏休み明けだから仕方ない」

とすべてを説明することはできません。

強い症状や長引く症状がある場合には、

原因を確認することが必要です。

Q. 鍼灸では何をするのですか?

木氣治療室では、

「動悸だからこのツボ」

「吐き気だからこのツボ」

というように、

症状だけから施術を決めることはしていません。

今回の患者さんでは、

来院時の身体所見。

疲労。

むくみ。

足の冷え。

お腹の張り。

生活背景。

そして脈。

こうした情報を合わせて、

その日の身体の状態を考えました。

また、

毎回同じ施術をするのではなく、

その日の脈や身体の変化を確認しながら、

施術内容を調整します。

こんな場合は医療機関へ

今回のように、

目の前が真っ暗になる。

意識が遠のく。

倒れる。

という症状がある場合には、

一度きりだから大丈夫と自己判断しないことが大切です。

特に、

・失神を繰り返す
・運動中や運動直後に倒れる
・胸痛がある
・強い息苦しさがある
・強い動悸や脈の乱れを繰り返す
・意識がなかなか戻らない
・けいれんを伴う
・転倒して頭を強く打った
・強い頭痛や手足の動かしにくさがある
・食事や水分が十分に取れない
・強いむくみが続く
・顔までむくむ
・尿量が大きく変化する
・症状によって学校生活へ支障が出ている

といった場合には、

医療機関で評価を受けてください。

木氣治療室で臨床していて思うこと

今回の女子高校生を診ていて、

印象に残ったのは、

本人が来院したときには、

電車で起きた強い症状がすでになかったことです。

目の前が真っ暗になる。

動悸。

気持ち悪さ。

これらはありませんでした。

でも、

身体を診ると、

足はかなりむくんでいる。

足先は冷たい。

お腹も張っている。

そして本人に聞くと、

夏休みが終わって学校が始まり、

最近疲れていた。

脈を確認すると、

虚労寒湿。

五臓では、

脾の弱りがみられました。

一つひとつの情報だけでは、

それほど大きな意味を持たないかもしれません。

しかし、

それらを重ねてみると、

症状が起こる前から、

身体には変化があった可能性が見えてきます。

私は、

こういう、

「症状になる前から身体に出ていた変化を見ること」

が、

東洋医学の大切なところだと思っています。

もちろん、

今回倒れた医学的な原因を、

脈だけから説明することはできません。

必要な検査は、

医療機関で受ける。

そのうえで、

今の身体に残っている、

疲労。

冷え。

むくみ。

胃腸の状態。

睡眠。

生活リズム。

などを見ていく。

この二つは、

どちらか一方ではありません。

まとめ|「倒れた瞬間」だけではなく、その前の身体を見る

今回の女子高校生は、

電車の中で突然、

目の前が真っ暗になり、

動悸と気持ち悪さが出て、

ホームで倒れました。

しかし、

木氣治療室へ来院したときには、

それらの症状はありませんでした。

身体に残っていたのは、

強いむくみ。

足の冷え。

お腹の張り。

そして、

夏休み明けからの疲労。

脈では、

虚労寒湿。

五臓では、

脾の弱りがみられました。

東洋医学では、

目の前が暗くなった。

動悸がした。

吐き気がした。

という症状を、

一つずつ別々に追いかけるだけではありません。

その症状が起きるまで、身体にどのような変化が積み重なっていたのか。

そこまで含めて考えます。

高校生だから若い。

学校へ行けている。

今は症状がない。

だから大丈夫。

とは限りません。

疲れやすくなった。

朝起きづらくなった。

食欲が落ちた。

お腹が張る。

足が冷える。

むくむ。

こうした身体の小さな変化が、

先に現れていることがあります。

特に夏休み明けは、

生活リズムが大きく変わる時期です。

「頑張って学校生活に慣れなければ」

だけではなく、

今の身体が学校生活についていけているのか

一度確認してみてください。

木氣治療室では、

症状名だけではなく、

生活背景。

食事。

睡眠。

便通。

冷え。

むくみ。

そして脈。

こうした情報を合わせながら、

一人ひとりの身体を考えています。

今回の患者さんについても、

今後、

むくみ。

冷え。

お腹の張り。

学校生活での疲れ方。

電車での症状。

そして脈。

これらがどのように変化していくのか、

経過を確認していきたいと思います。

※本記事は実際の臨床例をもとに、個人が特定されないよう一部情報を調整して紹介しています。「虚労寒湿」「脾虚」「寒湿」などは東洋医学における身体の捉え方であり、西洋医学の診断名や失神の原因を示すものではありません。鍼灸は必要な医学的検査や治療の代わりになるものではありません。

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この記事を書いた人

こんにちは。木氣治療室院長の石塚雅章です。痛みがない、病気になっていないから私は健康です、とは言えません。日常の動作や姿勢、生活習慣を見直し、予防しましょう。そして、体の不調がなく、趣味を長く続け幸せな生活を送っていただけるよう、サポートをしていきますのでよろしくお願いします。

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