朝が一番つらく、仕事へ行けない方へ

― 西洋医学と東洋医学、両方の視点から体を見直す ―

朝、体が動かないのに日中はなんとかなる

臨床をしていると、
「朝がとにかくつらいんです」
「起きてから動き出すまでに時間がかかります」
と話される方が少なくありません。

一方で、
「仕事が始まってしまえば、日中はまだ動けます」
「夕方の方が楽な気がします」
という声もよく聞きます。

この「朝だけがつらい状態」には、
体のリズムや回復力が深く関係しています。


西洋医学的に考えられる背景

西洋医学的には、朝のつらさにはいくつかの要因が重なっていると考えられます。

自律神経の切り替えの問題

本来、朝になると副交感神経から交感神経へと切り替わり、
体は「活動モード」に入ります。

しかしこの切り替えがうまくいかないと、

起きても頭がはっきりしない
体が重く、だるい
気持ちが前に向かない

といった状態が起こりやすくなります。

睡眠の質と回復感

睡眠時間が足りていても、

眠りが浅い
夜中に目が覚めやすい

こうした状態では、朝に十分な回復感が得られません。

ホルモンリズムの乱れ

朝に分泌が高まるホルモンは、
体を目覚めさせる役割を担っています。
このリズムが乱れることで、「朝が一番つらい」という感覚につながることもあります。


東洋医学では「朝」をどう捉えるか

東洋医学では、朝を
「体が内から外へ動き出す時間帯」
と考えます。

古典には、
「平旦、人の気生ず」
とあり、朝は気が生まれ、動き始める時間と捉えられてきました。

朝につらさが出るということは、
この切り替えがうまくいっていない状態とも言えます。


気・血・津液の視点から見る朝の不調

東洋医学では、体の働きを
「気・血・津液(しんえき)」
という三つの要素で考えます。

気(き)

気は、体を動かすエネルギーのようなものです。

気が不足していると、

朝、体を起こす力が足りない
動き出すまでに時間がかかる
日中、動くうちに少し楽になる

といった状態が起こりやすくなります。

血(けつ)

血は、体に栄養と温かさを運びます。

血が不足したり巡りが悪いと、

朝、体が冷えている感じがする
頭がぼーっとする
目覚めが悪い

といった感覚につながることがあります。

津液(しんえき)

津液は、体を潤し、動きをなめらかにする水分です。

巡りが悪いと、

朝、体が重い
むくみやすい
動き始めるまで時間がかかる

といった特徴が見られます。


五臓六腑との関係で見る「朝のつらさ」

朝の不調は、特定の臓腑と関係していることが多いです。

脾(ひ)

脾は、食事からエネルギーを作り出す臓です。

脾の働きが弱ると、

朝に力が出ない
体が重だるい
午前中が特につらい

といった状態が出やすくなります。

肺(はい)

肺は、気を全身に巡らせる役割があります。

朝は肺の働きと関係が深い時間帯とも言われ、
この働きが弱いと、

朝、呼吸が浅い
目覚めが悪い
気分が沈みやすい

と感じることがあります。

腎(じん)

腎は、体の土台となる力を蓄える臓です。

腎の力が落ちてくると、

朝が特につらい
布団から出られない
疲れが抜けにくい

といった訴えが増えてきます。


なぜ日中は少し楽になるのか

日中になると、

太陽の熱
体を動かすことで生まれる刺激
周囲の環境

によって、体は外から支えられます。

そのため、
「朝よりはマシ」
「動いているうちに楽になる」
という感覚が出てきます。

これは回復したというより、
「外の力を借りて持ち上げられている状態」
と考えると分かりやすいかもしれません。


朝のつらさがある方に、ひとつだけツボの話

朝のつらさが続く方には、
「足三里(あしさんり)」
というツボが使われることがあります。

膝のお皿の下から指4本分ほど下、すねの外側に位置し、
体を動かす力や回復力と関係が深いと考えられています。

強く刺激する必要はなく、
朝や日中に、気づいたときに軽く触れる程度でも十分です。


朝のつらさは「体からのサイン」

朝がつらいと、
「気合いが足りないのでは」
「怠けているのでは」
と自分を責めてしまう方もいます。

しかし東洋医学では、
これは性格の問題ではなく、
「体のバランスの問題」
と捉えます。

朝の不調は、
「今の生活リズム、少し無理していませんか」
という体からのサインとも言えます。


最後に

朝が一番つらく、日中はまだ楽。
この状態は、決して珍しいものではありません。

体は、目に見えないところで
必死にバランスを取ろうとしています。

もし今、朝のつらさを感じているなら、
「自分が弱いから」ではなく、
「体が何かを伝えているのかもしれない」
そんな視点を、少しだけ持ってみてください。

この記事を書いた人

こんにちは。木氣治療室院長の石塚雅章です。痛みがない、病気になっていないから私は健康です、とは言えません。日常の動作や姿勢、生活習慣を見直し、予防しましょう。そして、体の不調がなく、趣味を長く続け幸せな生活を送っていただけるよう、サポートをしていきますのでよろしくお願いします。

あん摩マッサージ指圧師

はり師

きゅう師

柔道整復師