不眠症は心と体のサイン|東洋医学が導く自然な眠りへの道

「布団に入ってもなかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝すっきり起きられない」
そんな夜が続くと、心も体も少しずつ疲れてしまいます。

現代では、ストレスやスマホの使用、生活リズムの乱れなど、さまざまな要因で眠りの質が低下しています。
病院で「異常なし」と言われても、眠れないつらさに悩んでいる方は多くいらっしゃいます。

木氣治療室では、東洋医学の観点から「眠れない原因」を丁寧に探り、
薬に頼らず自然な眠りを取り戻すための鍼灸治療を行っています。

■ 不眠症とは

西洋医学では、不眠症は「入眠困難(寝つけない)」「中途覚醒(途中で目が覚める)」「早朝覚醒」「熟眠障害(眠っても疲れが取れない)」などの症状を指します。

これらが週3日以上・3か月以上続く場合、「慢性不眠症」と診断されることがあります(DSM-5基準)。

不眠の原因は一つではなく、

  • ストレスや不安
  • 生活リズムの乱れ
  • 痛みや体調不良
  • ホルモンバランスの変化

など、心身両面の要素が複雑に関わっています。

■ 現代社会における不眠の要因

● 環境要因

騒音や室温、明るさといった寝室環境は、眠りの質に大きな影響を与えます。
特に夏の高温多湿や冬の冷えすぎた部屋、スマートフォンの光などは、脳を覚醒状態にしてしまいます。

● ストレスと不安

ストレスが高まると、自律神経のうち「交感神経」が優位になります。
これは体を活動モードにする働きで、心拍数や血圧を上げ、脳を休ませにくくします。
結果、寝つけなかったり、眠りが浅くなったりします。

この状態が続くと、睡眠不足がさらにストレスを強め、悪循環に陥ってしまいます。

● 生活リズムの乱れ

夜遅くまでの仕事やスマホ使用、不規則な食事・運動習慣は、体内時計(概日リズム)を乱します。
本来「夜は休み、朝は活動する」体のリズムが崩れることで、眠りに入りづらくなります。

■ 東洋医学から見る「不眠」

東洋医学では、不眠を「不寐(ふび)」と呼びます。
単に「眠れない」という結果ではなく、「なぜ眠れないのか」という体の内側のバランスに注目します。

● 五臓六腑と眠りの関係

不眠は「五臓」の働きの乱れと深く関わります。

  • 肝(かん) … 感情やストレスの影響を受けやすく、気の巡りが悪くなると眠れなくなる
  • 心(しん) … 精神活動を司る。心が乱れると不安や動悸、多夢などを生じる
  • 脾(ひ) … 消化・吸収を担い、エネルギーや血を生み出す。弱ると心に栄養が届かない
  • 腎(じん) … 生命力の源であり、加齢や疲労で衰えると眠りが浅くなる

東洋医学では、このように「五臓のバランス」を整えることで、眠りを自然に導きます。

■ 鍼灸による不眠症へのアプローチ

鍼灸治療は、不眠に対して効果的なアプローチです。
体のエネルギーの流れ(気血)を整え、自律神経を安定させることで、深い眠りを促します。

● 自律神経を整える

鍼灸は、交感神経と副交感神経のバランスを調整します。
副交感神経が優位になることで、体が「休むモード」に切り替わり、自然に眠気が訪れます。

● ストレスを和らげる

鍼を打つことで、体は軽い刺激に反応し、血流を促進します。
これにより脳内の神経伝達物質が整い、心が落ち着いてリラックス状態に導かれます。

「治療を受けた日はぐっすり眠れた」「心が静かになった」という声も多く聞かれます。

● よく使われるツボ

  • 神門(しんもん) … 手首の内側。リラックス効果が高く、心を落ち着ける
  • 内関(ないかん) … 胸のつかえや不安をやわらげる
  • 百会(ひゃくえ) … 頭のてっぺん。心を鎮め、眠りを導く

これらのツボを体質に合わせて組み合わせ、心身の調和を図ります。

■ 西洋医学の治療とその注意点

西洋医学では、主に薬物療法や認知行動療法(CBT-I)などが行われます。
睡眠薬は即効性がありますが、長期使用には注意が必要です。

● 睡眠薬の作用とリスク

多くの睡眠薬は、脳内のGABA受容体に作用し、神経の興奮を抑えて眠りを促します。
しかし、長期的に使用すると体が薬に慣れてしまい(耐性)、「薬がないと眠れない」状態が生じやすくなります。

依存が生じるメカニズム

  • 耐性の発生: 同じ量では効果が薄れ、量を増やさなければ効かなくなる
  • 身体的依存: 中止時に頭痛・焦燥・不安・不眠などの離脱症状が出る
  • 精神的依存: 「飲まないと不安」という心理的な依存が形成される
  • 受容体の変化: 神経系が薬のある状態を基準として調整されてしまう

こうした依存や耐性のリスクがあるため、薬物療法は短期的なサポートとして使われるべきです。

もちろん、医師の診断・治療が必要な場合もありますので、医療機関での相談も大切です。
鍼灸は、薬と併用しながら「体の土台から整える」アプローチとしてお役立ていただけます。

■ 木氣治療室でできること

木氣治療室では、「薬に頼らず眠れる身体」を取り戻すための鍼灸治療を行っています。
当院の特徴は次の3点です。

1. 東洋医学と西洋医学の視点を融合した診立て

脈診や舌診などの東洋医学的な視点と、現代医学的な分析を組み合わせ、根本原因を見極めます。

2. 痛みの少ない古典鍼灸

刺激の強い鍼ではなく、「散鍼(さんしん)」や「てい鍼(ていしん)」など、体にやさしい施術を用います。
寝てしまう方も多く、施術後は「心まで緩んだ」と言われることもあります。

3. 体質改善とセルフケアのサポート

食事・入浴・呼吸・思考など、眠りを深める生活養生を一緒に整えます。
「眠れる体を育てる」ことを大切にしています。

■ まとめ ― 自然な眠りを取り戻すために

不眠は、心の問題でも、単なる生活習慣の乱れでもありません。
それは「身体からのサイン」であり、あなたの体が「休みたい」と教えてくれているのです。

東洋医学の鍼灸治療は、そのサインを丁寧に読み取り、
眠りを妨げる原因(気・血・水の乱れ)を整えることで、自然な眠りを取り戻すサポートをします。

眠れない夜に悩んでいる方へ。
薬だけに頼る前に、一度「整える」という選択をしてみてください。
木氣治療室が、あなたの眠りを取り戻すお手伝いをいたします。


🍃木氣治療室
千葉県松戸市|完全予約制・女性のための鍼灸院
自律神経・ストレス・ホルモンバランスの不調に特化した東洋医学的ケア

LINEやお電話でお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

こんにちは。木氣治療室院長の石塚雅章です。痛みがない、病気になっていないから私は健康です、とは言えません。日常の動作や姿勢、生活習慣を見直し、予防しましょう。そして、体の不調がなく、趣味を長く続け幸せな生活を送っていただけるよう、サポートをしていきますのでよろしくお願いします。

あん摩マッサージ指圧師

はり師

きゅう師

柔道整復師