ぎっくり腰は本当に突然?~東洋医学で読み解く体の警告サイン~

まず知っておいてほしいこと(今まさに困っている方へ)

ぎっくり腰になった直後は、
「動かしたほうがいいのか」
「安静にしたほうがいいのか」
迷う方がとても多いです。

一般的には、

・無理に動かさない
・痛みが強い間は姿勢を変える動作を最小限にする
・冷やしたほうが楽か、温めたほうが楽かは体の反応を優先する

といった対応が基本になります。

痛みが強い時期は、
「早く元に戻そう」と頑張るより、
まずは体が落ち着くのを待つことが大切です。

そのうえで、
なぜこの痛みが起きたのかを知ることが、
回復や再発予防につながっていきます。


ある日、急に腰が動かなくなる

臨床をしていると、
「朝、顔を洗おうとしただけなんです」
「靴下を履こうと前かがみになった瞬間でした」
と話される方がいます。

いわゆる「ぎっくり腰」は、
本当に突然起こったように感じられる症状です。

ただ、体の中ではその前から、
少しずつ準備が進んでいたように見えることも少なくありません。


西洋医学的に考えられるぎっくり腰

西洋医学では、ぎっくり腰は
「急性腰痛症」
と呼ばれることが多く、

・筋肉や筋膜の損傷
・関節や靭帯への急な負荷
・疲労の蓄積による防御反応

などが関係していると考えられています。

重い物を持った、急に体をひねった、
そうした動作がきっかけになることもありますが、
同じ動きをしても起こる人と起こらない人がいるのも事実です。


東洋医学では「突然」とは考えにくい

東洋医学では、
ぎっくり腰のような症状に対して
「突然起こった」とはあまり考えません。

古典には、
「久しく虚すれば、必ず急に至る」
という考え方があります。

長い時間をかけて整いにくくなった状態が、
ある瞬間に表に出た、
そう捉える方が自然とされています。


気・血・津液の乱れと腰の関係

東洋医学では、体の不調を
「気・血・津液」
の巡りから考えます。

気の滞り

気は、体を動かす働きを担っています。

緊張が続いたり、
休む時間が取れなかったりすると、
気の巡りが悪くなりやすくなります。

その状態で腰に負担がかかると、
一気に動けなくなることがあります。

血の滞り

血は、筋肉や関節に栄養を届けます。

冷えや長時間の同じ姿勢が続くと、
腰回りの血流が低下しやすくなります。

結果として、
小さな動作でも強い痛みが出ることがあります。

津液の偏り

津液は、体を潤し、動きをなめらかにします。

疲労や睡眠不足が続くと、
筋肉や関節の柔らかさが失われ、
急な痛みにつながることがあります。


五臓六腑から見るぎっくり腰

腎と腰の関係

東洋医学では、
「腰は腎の府」
といわれます。

腎は、体の土台となる力を蓄える臓です。

無理が続いたり、回復が追いつかなくなると、
腰が支えきれなくなり、
ぎっくり腰という形で表に出ることがあります。

脾と回復力

脾は、体を動かすエネルギーを作る臓です。

疲れが抜けにくい状態が続くと、
回復力が落ち、
腰への負担が蓄積しやすくなります。


なぜ「少し動くと楽になる」ことがあるのか

ぎっくり腰の中には、
「じっとしているより、少し動いた方が楽」
と感じる方もいます。

これは、動くことで
気や血の巡りが少しずつ戻り、
体が固まった状態から抜け出そうとする反応とも考えられます。

ただし、
痛みを我慢して動かす必要はありません。


ぎっくり腰は「体からのブレーキ」

ぎっくり腰は、
「腰が弱いから起こる」
というより、

「これ以上無理を続けないでほしい」
という体からのブレーキとして現れることもあります。


ぎっくり腰のときに使われることがあるツボ

ぎっくり腰の際には、
「委中(いちゅう)」
というツボが使われることがあります。

膝の裏の中央に位置し、
腰から背中の巡りと関係が深いと考えられています。

強い刺激は必要なく、
横になった状態で軽く触れる程度でも十分です。


よくある質問(FAQ)

Q.ぎっくり腰は温めたほうがいいですか?

痛みが強い直後は、
冷やしたほうが楽に感じることもあります。
数日経ち、動かしやすくなってきたら、
温めたほうが楽になるケースもあります。

Q.動かないほうがいいですか?

痛みが強い間は無理に動かさないことが大切です。
ただし、完全に固まったままより、
体が許す範囲で姿勢を変えることは役立つ場合もあります。

Q.何度もぎっくり腰になりますが、体質でしょうか?

体質というより、
回復が追いつかない状態が続いている可能性があります。
一度起こったあとこそ、体の状態を見直すことが大切です。


最後に

ぎっくり腰は、
突然起こったように見えて、
体の積み重ねが表に出た結果とも考えられます。

痛みだけに目を向けるのではなく、
その背景にある体の状態に目を向けることが、
次の不調を防ぐ助けになることもあります。

もしぎっくり腰を経験したときは、
「無理をしていたサインかもしれない」
そんな視点を、少しだけ持ってみてください。

この記事を書いた人

こんにちは。木氣治療室院長の石塚雅章です。痛みがない、病気になっていないから私は健康です、とは言えません。日常の動作や姿勢、生活習慣を見直し、予防しましょう。そして、体の不調がなく、趣味を長く続け幸せな生活を送っていただけるよう、サポートをしていきますのでよろしくお願いします。

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