ぎっくり腰を繰り返すのはなぜか

― 再発と季節・冷えを東洋医学から考える ―

まず知っておいてほしいこと(今まさに困っている方へ)

ぎっくり腰になった直後は、
「動かしたほうがいいのか」
「安静にしたほうがいいのか」
迷う方がとても多いです。

一般的には、

・無理に動かさない
・痛みが強い間は動作を最小限にする
・冷やしたほうが楽か、温めたほうが楽かは体の反応を優先する

といった対応が基本になります。

痛みが強い時期は、
「早く治そう」と頑張るより、
まず体が落ち着くのを待つことが大切です。

そのうえで、
「なぜ起きたのか」「なぜ繰り返すのか」を知ることが、
再発を防ぐ助けになります。


「またやってしまいました」という言葉

臨床をしていると、
「実はこれ、初めてじゃないんです」
「年に一回くらい必ずやるんですよね」
そんな言葉を聞くことがあります。

一度良くなったはずなのに、
しばらくするとまた同じような痛みが出る。

この「繰り返すぎっくり腰」には、
いくつか共通した体の状態が見られます。


西洋医学的に考えられるぎっくり腰

西洋医学では、ぎっくり腰は
「急性腰痛症」
と呼ばれることが多く、

・筋肉や筋膜の損傷
・関節や靭帯への急な負荷
・疲労の蓄積による防御反応

などが関係していると考えられています。

ただ、
同じ動作をしても起こる人と起こらない人がいることからも、
その背景には体の状態の差があることがうかがえます。


東洋医学では「突然」とは考えにくい

東洋医学では、
ぎっくり腰のような症状を
「突然起きた出来事」とはあまり捉えません。

古典には、
「久しく虚すれば、必ず急に至る」
という考え方があります。

長く続いた無理や消耗が、
ある瞬間に腰の痛みとして表に出た。
そう考える方が自然とされています。


再発しやすい人に共通する特徴

痛みが引くと、すぐ元の生活に戻ってしまう

ぎっくり腰は、
数日から1週間ほどで強い痛みが落ち着くことがあります。

すると、
「もう大丈夫だろう」
と、以前と同じ生活に戻りがちです。

ただ、
痛みが取れたことと、
体が整ったことは必ずしも同じではありません。

このズレが、
再発の土台になることがあります。


普段から力を抜くのが苦手

再発を繰り返す方を見ていると、

・常に気を張っている
・無意識に体に力が入っている
・休んでいても頭が休まらない

といった傾向が見られることがあります。

東洋医学では、
このような状態を「気の巡りが滞りやすい」と考えます。

腰は、
この滞りの影響を受けやすい場所でもあります。


疲れが抜けにくい状態が続いている

「ちゃんと寝ているのに疲れが取れない」
「朝から体が重い」

こうした状態が続いている方も、
ぎっくり腰を繰り返しやすい印象があります。

体の回復が追いついていない状態が、
腰に集まりやすくなっているのかもしれません。


東洋医学で見る「なぜ腰に出やすいのか」

東洋医学では、
体の不調は「弱いところに出る」と考えます。

腰は、
体を支え、動きの中心となり、
疲れが集まりやすい場所です。

再発するぎっくり腰は、
腰そのものの問題というより、
体全体の調整力が落ちているサインとして
捉えると分かりやすいかもしれません。


気・血・津液の乱れと腰の関係

東洋医学では、体の働きを
「気・血・津液」
の巡りから考えます。

気が滞ると、
体の動きがぎこちなくなり、
腰に負担がかかりやすくなります。

血の巡りが悪くなると、
筋肉や関節がこわばり、
ちょっとした動作でも痛みが出やすくなります。

津液が偏ると、
筋肉や関節のしなやかさが失われ、
急な痛みにつながることがあります。


五臓六腑から見る再発の背景

腎と腰の関係

東洋医学では、
「腰は腎の府」
といわれます。

腎は、体の土台となる力を蓄える臓です。

無理が続いたり、
回復が追いつかない状態が続くと、
腰が支えきれなくなり、
ぎっくり腰を繰り返すことがあります。


脾と回復力

脾は、
食事からエネルギーを作り、
体を回復させる働きを担っています。

生活リズムが乱れたり、
考えごとが多い状態が続くと、
回復力が落ちやすくなります。


ぎっくり腰と季節・冷えの関係

ぎっくり腰は、
季節の変わり目に多い印象があります。

特に、

・寒くなり始める秋から冬
・冷えが残る春先

は注意が必要な時期です。


「寒」と「湿」が重なるとき

東洋医学では、
冷えや湿気を
「寒」や「湿」の影響として考えます。

寒さは体を縮こまらせ、
湿は体を重くします。

この二つが重なると、
腰回りの動きが悪くなり、
ぎっくり腰のきっかけになりやすくなります。


「冷やしている自覚がない」人ほど注意が必要

・薄着
・長時間の座り姿勢
・冷たい飲み物
・シャワーだけで済ませる習慣

こうした積み重ねが、
知らないうちに腰を冷やしていることもあります。


回復期に大切にしたい東洋医学的な視点

痛みが落ち着いてくると、
「もう治った」と感じやすくなります。

ただ東洋医学では、
症状が消えた段階を
「整った状態」とはすぐに考えません。

・冷えが残っていないか
・疲れが抜けているか
・体に余裕が戻っているか

こうした部分が整って、
はじめて再発しにくい状態に近づくと考えます。


よくある質問(FAQ)

Q.ぎっくり腰は温めたほうがいいですか?

痛みが強い直後は、
冷やしたほうが楽に感じることもあります。
数日経ち、動かしやすくなってきたら、
温めたほうが楽になる場合もあります。

Q.何度も繰り返すのは体質でしょうか?

体質というより、
回復が追いつかない状態が続いている可能性があります。
一度起こったあとこそ、
体の使い方や休ませ方を見直すことが大切です。

Q.少し動いたほうがいいのでしょうか?

痛みが強い間は無理に動かさないことが大切です。
ただし、体が許す範囲で姿勢を変えることは、
回復の助けになることもあります。


最後に

東洋医学では、痛みは
「敵」ではなく、
体の状態を知らせる合図と考えます。

ぎっくり腰を繰り返す背景には、
必ず体のサインがあります。

もし何度も経験しているなら、
「腰を治す」だけでなく、
「体の使い方や休ませ方」を
少し見直すきっかけにしてみてください。

体は、
ちゃんと教えてくれています。

この記事を書いた人

こんにちは。木氣治療室院長の石塚雅章です。痛みがない、病気になっていないから私は健康です、とは言えません。日常の動作や姿勢、生活習慣を見直し、予防しましょう。そして、体の不調がなく、趣味を長く続け幸せな生活を送っていただけるよう、サポートをしていきますのでよろしくお願いします。

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