心が重いと感じたら|東洋医学で考える”うつ”のケアと鍼灸のアプローチ

東洋医学から見る「うつ」とは?
東洋医学では「うつ」は”心の病”にとどまらず、身体のエネルギー(気)や血の巡りが滞った状態としてとらえます。
つまり、心と体は別々ではなく、ひとつながりの存在です。
東洋医学の古典書では、うつを「気鬱」「血鬱」「痰鬱」などの六鬱に分類し、滞りの性質によってアプローチが異なると説かれています。
例えば、気の流れが滞るとイライラや胸のつかえ、血が滞ると不眠や倦怠、痰湿がたまると頭の重さや集中力低下が起こるなど、症状の出方は人それぞれ。
「同じうつ」という診断でも、その人の体質・背景によって原因もアプローチも違うのです。
木氣治療室では、こうした「その人全体」を見立てることを大切にしています。
「最近気分が落ちて…」「寝ても疲れが抜けない」といった曖昧な不調も、東洋医学的に見れば体からのサイン。
まずはその声に気づくところから始まります。
気・血・水と五臓から読み解く「うつ」のメカニズム

気の滞り(気鬱)とストレス
気は体をめぐる「生命のエネルギー」。ストレスや感情の抑圧が続くと気の流れが鈍り、胸のつかえ・喉の違和感・ため息が増えるなどのサインが出ます。
東洋医学では「肝」の働きが気の流れを司るため、肝の失調は「うつ」と深く関わります。
血の不足(血虚)と精神の不安定
血は心を養う大切な要素。血が不足すると、不眠、動悸、集中力低下、涙もろさ、手足の冷えが出やすくなります。
気鬱が続くと血の巡りが悪くなり、血虚へと移行。血虚が進むと気を動かす力も落ちるため、気鬱と血虚は互いに悪循環を作りやすい状態です。
五臓と感情のつながり

- 肝(かん):気の流れを整える臓。ストレスに影響されやすく、イライラ・怒り・落ち込みと関係。
- 心(しん):血を巡らせ、精神を安定させる。心血が不足すると不安・不眠に。
- 脾(ひ):食べたものから気血を作る。食欲低下や倦怠感、やる気のなさは脾のサイン。
- 肺(はい):呼吸を司り、心の表現と深く関わる。ため息や涙の多さも肺の影響。
- 腎(じん):生命エネルギーの源。慢性疲労、無気力、恐れ、不安などが現れます。
東洋医学では、うつ症状を単に「心の病」とは見ません。五臓六腑のバランスが崩れた結果、心の不調が生まれる——この視点こそが、西洋医学との大きな違いです。
症状チェック:気鬱と血虚の見分け方
気鬱タイプ
・気分の浮き沈みが激しい
・ため息が多い
・喉や胸のつかえ感
・朝の立ち上がりが重い
・肩こりや生理不順
→ ストレスで悪化しやすく、体を動かすことで軽くなる傾向があります。
血虚タイプ
・眠りが浅く夢が多い
・集中できない・不安が強い
・顔色が悪く、爪が割れやすい
・冷えや立ちくらみ
・生理量が少ない・遅れる
→ 栄養不足や過労で悪化しやすく、休養・睡眠が改善の鍵となります。
鍼灸で整える「心と体」

鍼灸施術は、体にあるツボ(経穴)を刺激することで、自律神経やホルモン、気血の流れを整えることを目指します。うつの方に多い「交感神経が過剰に働いてリラックスできない状態」を、ゆっくり副交感神経が優位な方向へ導くことが期待されます。
木氣治療室の鍼灸メソッド
当院では「古典鍼灸」を基盤とし、脈診・腹診を通して今の体の状態を丁寧に読み取ります。刺激はできるだけ優しく、痛みをほとんど感じない「接触鍼」や「散鍼(さんしん)」や「てい鍼」などを使用。
「刺さない鍼」で、過敏になった神経を静かに整えていきます。
施術の流れ

- 問診:症状だけでなく、睡眠・食事・感情の変化まで丁寧にお伺いします。
- 脈診・腹診:体内の状態(気血水の偏り)を指先と手で読み取ります。
- 施術:脈の反応に合わせて、全身のツボを調整。鍼・灸・温熱療法などを組み合わせます。
- アフターケア:セルフケアや食事・睡眠アドバイスを行い、体質改善を目指します。
木氣治療室の特徴
多くの鍼灸院では「症状に対してツボを選ぶ」施術が一般的ですが、木氣治療室では「なぜその症状が起きたのか」を重視し、体全体のバランスを整えることを目指しています。
また、西洋医学の検査データ(自律神経検査)も参考にしながら、東洋医学と西洋医学の両面から体をみることを大切にしています。
セルフケア・養生法|日常でできる心と体の整え方
食事
・冷たい飲み物や甘いお菓子を控え、温かい汁物を中心に
・香味野菜(生姜・ネギ・紫蘇)で気の流れを促す
・ストレスを感じる時は「よく噛んで」食べることが大切
睡眠
・夜はスマホや強い光を避け、できるだけ早めの就寝を
・朝はカーテンを開けて朝日を浴び、体内時計をリセット
呼吸と運動
・深呼吸で”吐く息”を長く、心拍数をゆるめる
・軽いウォーキングやストレッチで気の流れを整える
おすすめのツボ
- 太衝(たいしょう):ストレス・イライラに
- 内関(ないかん):不安・動悸に
- 百会(ひゃくえ):頭の重だるさ・不眠に
- 神門(しんもん):心の安定・眠りの質向上に
上記は一例となります。
当院では、ひとりひとりの体質に合ったセルフケアをお伝えさせていただきます。
木氣治療室でできること
木氣治療室は、「薬に頼らず、体の声を聞く」ことを大切にしています。
古典に基づいた脈診・腹診を通じて、目に見えない心身のバランスを整え、自律神経・ホルモン・気血の流れを本来の状態に近づけるお手伝いをします。
ご来院される方の多くは「病院では異常なしと言われたけれど、つらい」という方。そんな方こそ、東洋医学の得意分野です。
見逃されがちな「体のサイン」を丁寧に読み取り、あなたの体が”回復しやすい環境”を整えることが、木氣治療室の役割です。
まとめ|心と体はひとつ。焦らず、ゆっくり整えていく
うつの症状は、心の問題だけでなく、体のサインでもあります。鍼灸によって気血の流れを整えることで、少しずつ「心の余白」を取り戻すサポートをいたします。
焦らず、比べず、少しずつ——。
木氣治療室は、あなたのペースで整える場所です。
まずはお電話でもLINEでもお気軽にご相談ください。





