月経前症候群(PMS)の辛い症状に!薬の正しい飲み方と鍼灸で根本改善を目指す

月経前症候群(PMS)の辛い症状に、毎月悩まされていませんか?この記事では、PMSの主な症状と原因を分かりやすく解説し、市販薬や体質改善を促す漢方薬、専門家から処方される薬の正しい選び方と飲み方を詳しくご紹介します。さらに、鍼灸がPMSの症状改善に有効なメカニズムや具体的な施術方法についても深掘りします。薬と鍼灸を適切に併用することで、一時的な症状緩和だけでなく、根本的な体質改善を目指し、快適な毎日を取り戻せるでしょう。日々のセルフケアのヒントも満載です。

1. 月経前症候群(PMS)とは その辛い症状と原因

月経前症候群、一般的にPMS(Premenstrual Syndrome)と呼ばれる症状は、多くの女性が経験する月経前の心身の不調です。月経が始まるおよそ3日から10日前から現れ、月経が開始するとともに症状が軽くなったり、ほとんどなくなったりするのが特徴です。この期間に感じる不快な症状は、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

1.1 PMSの主な症状と生活への影響

PMSの症状は非常に多岐にわたり、その程度も人によって大きく異なります。身体的な症状と精神的な症状に分けられ、これらが複合的に現れることが一般的です。

身体的な症状としては、頭痛、腹部の痛みや張り、腰痛、乳房の張りや痛み、むくみ、だるさ、眠気、便秘や下痢、肌荒れなどが挙げられます。これらの症状は、時には動くのも辛いほどの不快感をもたらすことがあります。

一方、精神的な症状としては、イライラしやすくなる、気分の落ち込み、不安感、集中力の低下、無気力感、怒りっぽくなる、涙もろくなる、食欲の変化(過食や食欲不振)などがあります。これらの精神症状は、仕事や学業の効率を下げたり、友人や家族との人間関係に摩擦を生じさせたりするなど、社会生活にも影響を与えることがあります。

PMSの症状が日常生活に与える具体的な影響を以下の表にまとめました。

症状の種類具体的な症状日常生活への影響
身体症状頭痛、腹痛、腰痛仕事や学業への集中力低下、身体のだるさによる活動意欲の低下
身体症状乳房の張り、むくみ身体の不快感、衣服による圧迫感、見た目への影響
身体症状だるさ、眠気日中の活動性の低下、疲労感の増大、家事や育児への支障
精神症状イライラ、気分の落ち込み人間関係でのトラブル、感情のコントロールが困難になる、自己肯定感の低下
精神症状不安感、集中力低下仕事や学業でのミスが増える、決断力の低下、計画性の欠如
精神症状食欲の変化食生活の乱れ、体重の増減、健康への影響

このように、PMSの症状は多岐にわたり、女性の心身と日常生活に深刻な影響を与える可能性があるのです。

1.2 PMSの発生メカニズムと原因

PMSがなぜ起こるのか、その明確な原因はまだ完全に解明されていませんが、いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

最も有力な説の一つは、月経周期に伴う女性ホルモンの急激な変動が関与しているというものです。特に排卵後から月経までの期間、つまり黄体期に、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という二つの女性ホルモンが大きく変動します。このうち、プロゲステロンの増加とその後の急激な減少が、PMSの症状を引き起こす主な要因ではないかと考えられています。

ホルモンバランスの変動は、脳内の神経伝達物質にも影響を及ぼすことが指摘されています。特に、気分や感情の調整に関わるセロトニンという神経伝達物質の量が変動することで、精神的な症状が現れやすくなると言われています。

また、PMSの症状は、ストレスや不規則な生活習慣によっても悪化することが知られています。ストレスは自律神経のバランスを乱し、身体的・精神的な不調を招きやすくなります。不十分な睡眠、偏った食事、運動不足なども、PMSの症状を強める要因となり得ます。

さらに、個人の体質や遺伝的な要因もPMSの症状の現れ方に関係していると考えられています。同じホルモン変動があっても、症状の出方や程度には個人差が大きいのはそのためです。

このように、PMSの原因は単一ではなく、ホルモンバランスの変動、脳内神経伝達物質の変化、自律神経の乱れ、そして生活習慣や体質など、複数の要因が複雑に絡み合って発生すると考えられています。

2. 月経前症候群(PMS)の症状を和らげる薬の種類と正しい飲み方

月経前症候群(PMS)の症状は、身体的なものから精神的なものまで多岐にわたります。そのため、ご自身の主な症状や体質に合わせて、適切な薬を選択することが大切です。ここでは、市販薬と専門機関で処方される薬の種類、そしてそれぞれの正しい飲み方について詳しく解説します。

2.1 市販薬でPMSの症状を緩和する

比較的症状が軽い場合や、一時的に症状を和らげたい場合には、薬局などで手軽に購入できる市販薬が役立ちます。ご自身の症状に合わせて選び、用法用量を守って服用しましょう。

2.1.1 鎮痛剤の選び方と服用タイミング

PMSによる頭痛、腹痛、腰痛、乳房の張りなどの身体的な痛みに悩まされている場合、市販の鎮痛剤(痛み止め)が有効です。主な成分としては、イブプロフェン、ロキソプロフェン、アセトアミノフェンなどがあります。

  • イブプロフェン・ロキソプロフェン配合薬
    これらの成分は、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで、優れた鎮痛効果を発揮します。比較的速く効果が現れることが特徴ですが、胃への負担がやや大きい場合があるため、食後の服用が推奨されることが多いです。
  • アセトアミノフェン配合薬
    アセトアミノフェンは、脳の中枢に作用して痛みを抑える成分です。胃への負担が少ないことが特徴で、空腹時でも服用しやすいとされています。眠くなる成分が含まれていないことがほとんどなので、日中の服用にも適しています。

鎮痛剤を効果的に使うためには、症状が本格的にひどくなる前に服用することがポイントです。生理痛と同じように、PMSの症状が出始めたと感じたら、我慢せずに早めに服用することで、痛みを最小限に抑えられます。用法用量を守り、決められた回数を超えて服用しないように注意してください。

2.1.2 漢方薬で体質改善を目指す

漢方薬は、症状を一時的に抑えるだけでなく、体全体のバランスを整え、体質そのものを改善することでPMSの根本的な緩和を目指します。即効性よりも、継続して服用することで徐々に効果が現れるのが特徴です。ご自身の体質や症状に合わせて選ぶことが重要で、迷う場合は専門家へ相談することをおすすめします。

漢方薬の種類主な適応症状特徴
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)冷え、貧血傾向、むくみ、頭痛、めまい、肩こり血の巡りを改善し、体を温めることで、特に冷えやむくみを伴うPMS症状に効果が期待されます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)イライラ、気分の落ち込み、不安感、不眠、頭痛、肩こり、のぼせ気の巡りを整え、精神的なストレスやイライラを緩和する効果が期待されます。精神症状が強いPMSに適しています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)のぼせ、足の冷え、下腹部の痛み、肩こり、ニキビ、しみ血行を促進し、滞った血(瘀血)を改善することで、特に身体的な痛みを伴うPMS症状や、月経トラブルに効果が期待されます。

これらの漢方薬はあくまで一例であり、ご自身の体質や症状に合ったものを選ぶことが大切です。服用中に気になる症状が現れた場合は、すぐに使用を中止し、専門家へ相談してください。

2.2 病院で処方されるPMS治療薬

市販薬では症状が改善しない場合や、PMSの症状が日常生活に大きな支障をきたしている場合は、専門機関で処方される薬を検討することも大切です。専門家による診断のもと、より効果的な治療法が選択されます。

2.2.1 低用量ピルの効果と注意点

低用量ピルは、PMS治療において最も広く用いられている薬の一つです。排卵を抑制し、女性ホルモンの変動を安定させることで、PMSの身体症状と精神症状の両方に効果を発揮します。

  • 効果
    低用量ピルは、月経周期に伴うホルモンバランスの急激な変化を抑えることで、イライラ、気分の落ち込み、腹痛、頭痛、むくみ、乳房の張りなど、PMSの幅広い症状を軽減します。また、月経周期を安定させ、月経痛を和らげる効果も期待できます。
  • 注意点
    低用量ピルの服用開始初期には、吐き気、頭痛、不正出血などの副作用が現れることがありますが、多くの場合、数ヶ月で体が慣れて症状は落ち着きます。まれに血栓症のリスクが高まることが指摘されており、服用前には専門家による問診や検査が必要です。自己判断での服用は避け、必ず専門家の指導のもとで服用してください

2.2.2 精神症状に対する薬の役割

PMSの症状の中でも、特にイライラ、抑うつ気分、不安感、パニック発作など、精神症状が強く現れる場合には、精神症状に特化した薬が処方されることがあります。これは月経前不快気分障害(PMDD)と診断される場合も含まれます。

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など
    これらの薬は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きを調整し、気分の落ち込みやイライラ、不安感を和らげる効果が期待されます。PMSの症状が現れる黄体期(月経前)のみ服用する方法や、継続的に服用する方法など、症状の程度やパターンに応じて服用方法が検討されます。

精神症状に対する薬は、専門的な判断のもとで処方されるべきものです。ご自身の判断で服用を開始したり、中止したりすることは避けてください。必ず専門家と相談し、適切な指導のもとで服用することが重要です

2.3 月経前症候群の薬を安全に飲むための注意点

PMSの症状を和らげるために薬を服用する際は、安全に効果を得るためにいくつかの重要な注意点があります。市販薬、処方薬に関わらず、以下の点を守りましょう。

  • 用法用量を厳守する
    薬の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを避けるために、薬に記載されている用法用量を必ず守ってください。自己判断で量を増やしたり、服用回数を変更したりすることは避けてください。
  • 他の病気や服用中の薬を伝える
    現在、他の病気で治療を受けている場合や、他に服用している薬(市販薬、サプリメントなども含む)がある場合は、必ず専門家や薬剤師に伝えてください。薬の相互作用により、思わぬ副作用が現れたり、効果が弱まったりする可能性があります。
  • アレルギー歴を確認する
    過去に薬でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、その旨を必ず伝えてください。アレルギーを引き起こす成分が含まれていないか確認することが大切です。
  • 副作用に注意し、異常があれば相談する
    薬を服用中に、体調に異変を感じたり、いつもと違う症状が現れたりした場合は、すぐに服用を中止し、専門家へ相談してください。自己判断で我慢せず、早めに対応することが大切です。
  • 自己判断での中止は避ける
    特に処方薬の場合、症状が改善したからといって自己判断で服用を中止すると、症状が再発したり、体調を崩したりする可能性があります。薬の減量や中止は、必ず専門家の指示に従ってください

薬はPMSの症状を和らげる有効な手段ですが、あくまで対症療法であることが多いです。薬に頼るだけでなく、ご自身の体質や生活習慣を見直し、根本的な改善を目指すことが大切です。次の章では、薬とは異なるアプローチである鍼灸について詳しく見ていきましょう。

3. 月経前症候群(PMS)に鍼灸が効くメカニズム

月経前症候群(PMS)の症状は、心身の様々な不調として現れ、多くの女性を悩ませています。薬による対症療法も有効ですが、鍼灸はPMSの根本的な改善を目指し、体質そのものに働きかけるアプローチとして注目されています。

3.1 鍼灸がPMSの症状を改善する理由

鍼灸がPMSの症状改善に寄与するメカニズムは、東洋医学と現代医学の両面から説明することができます。

東洋医学では、PMSは「気(生命エネルギー)」「血(血液)」「水(体液)」のバランスの乱れや、「肝」「脾」「腎」といった臓腑の機能不調が原因で起こると考えられています。特に、ストレスや疲労によって「肝」の気の流れが滞ると、イライラや胸の張り、頭痛などの症状が現れやすくなります。鍼灸は、これらの気の滞りを解消し、気血水の巡りを整えることで、体全体のバランスを取り戻し、PMSの症状を和らげます。

一方、現代医学的な視点からは、鍼灸が自律神経系や内分泌系に働きかけることでPMSの症状を改善すると考えられています。具体的には、鍼灸刺激が脳に作用し、自律神経のバランスを整えることで、ストレス反応を抑制し、精神的な安定をもたらします。また、血行促進効果により、子宮や卵巣への血流が改善され、冷えやむくみ、生理痛などの身体症状の緩和にもつながります。さらに、鍼灸は脳内のエンドルフィンやセロトニンといった神経伝達物質の分泌を促し、痛みの軽減や気分の安定に寄与することも示唆されています。

3.2 PMSに対する鍼灸治療の具体的な方法

鍼灸治療では、問診や脈診、舌診などを用いて患者様一人ひとりの体質や症状を詳細に把握し、その方に合ったオーダーメイドの治療計画を立てます。PMSの症状は多岐にわたるため、その都度、最も効果的なツボを選び、刺激していきます。

施術では、非常に細い鍼を使用するため、痛みはほとんど感じないことがほとんどです。鍼を刺入した後、しばらく置鍼したり、軽く刺激を加えたりすることで、ツボの反応を引き出します。お灸は、温熱効果によって血行を促進し、冷えの改善やリラックス効果を高めます。直接皮膚に触れない間接灸や、熱さを感じにくい温灸など、様々な種類がありますので、安心して施術を受けていただけます。

鍼灸治療は、継続することで体質が徐々に改善され、PMSの症状が起こりにくい体へと変化していくことを目指します。症状の重さや体質によって異なりますが、一般的には週に1回から2週間に1回のペースで数ヶ月間継続することが推奨されます。

3.2.1 鍼灸治療でアプローチするツボ

PMSの鍼灸治療では、全身にあるツボの中から、特にPMSの症状改善に効果が期待できるツボを選んで刺激します。以下に代表的なツボとその効果を示します。

ツボの名前主な位置期待される効果
三陰交(さんいんこう)内くるぶしから指4本分上、すねの骨の後ろ婦人科系の症状全般に効果的で、冷え、むくみ、生理痛、月経不順の緩和に役立ちます。ホルモンバランスを整える効果も期待されます
太衝(たいしょう)足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前気の滞りを解消し、イライラや怒り、ストレスによる精神症状を和らげます。頭痛や目の疲れにも効果的です。
合谷(ごうこく)手の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前万能のツボとして知られ、鎮痛効果や自律神経の調整作用があります。頭痛、肩こり、ストレス緩和に役立ちます。
関元(かんげん)おへそから指4本分下下腹部の冷えやだるさ、疲労感、生理痛の緩和に効果的です。体全体のエネルギーを高める作用があります
百会(ひゃくえ)頭のてっぺん、両耳の先端を結んだ線と鼻の延長線が交わる点精神的な緊張を和らげ、リラックス効果を高めます。不眠や頭重感、めまいにも効果的です。

これらのツボは一例であり、患者様の症状や体質に応じて、他のツボも組み合わせて使用されます。

3.3 鍼灸治療のメリットとデメリット

鍼灸治療はPMSに対して多くのメリットをもたらしますが、注意すべき点もあります。

3.3.1 メリット

  • 副作用が少ない: 薬物療法に比べて、身体への負担が少なく、副作用のリスクが低いとされています。
  • 根本改善を目指せる: 対症療法だけでなく、体質そのものに働きかけ、PMSが起こりにくい体づくりを目指します。
  • 体質改善効果: PMS以外の、冷え性、肩こり、便秘、不眠など、様々な身体の不調の改善にもつながることがあります。
  • リラックス効果: 施術中に深いリラックス状態に入ることができ、精神的なストレスの軽減にも役立ちます。
  • 薬との併用が可能: 薬との相互作用を気にすることなく併用できるため、症状が重い場合でも安心して治療を受けられます。

3.3.2 デメリット

  • 即効性がない場合がある: 症状の緩和に時間がかかることがあり、継続的な通院が必要となる場合があります。
  • 施術者の技量による: 鍼灸の効果は、施術者の経験や技術に左右されることがあります。
  • 痛みの感じ方には個人差がある: ほとんど痛みを感じないことが一般的ですが、敏感な方はチクっとした刺激を感じることがあります。

鍼灸治療は、PMSの症状に悩む方にとって、薬だけに頼らず、ご自身の体と向き合いながら、根本的な改善を目指す有効な選択肢の一つと言えるでしょう。

4. 薬と鍼灸を併用してPMSの根本改善を目指す

4.1 薬と鍼灸 それぞれの役割と相乗効果

月経前症候群(PMS)の症状は多岐にわたり、その辛さも人それぞれです。症状を和らげるために薬を用いることは有効ですが、薬は辛い症状を一時的に和らげ、日常生活をスムーズに送るための助けとなります。一方、鍼灸は、身体が本来持つ自然治癒力を高め、根本的な体質改善を目指します

それぞれの治療法が持つ役割を理解し、適切に組み合わせることで、より効果的なPMS対策が可能になります。薬は痛みや精神的な不調といった具体的な症状に対して即効性を持つことが多く、特に症状が強い時期に頼りになります。それに対して鍼灸は、自律神経のバランスを整えたり、血流を改善したりすることで、ホルモンバランスの乱れといったPMSの根本的な原因に働きかけます。

薬と鍼灸の役割を比較すると、以下のようになります。

治療法主な役割期待される効果
症状の即時的な緩和痛み、精神的な不調、むくみなどの急性症状の軽減
鍼灸体質改善と根本原因へのアプローチ自律神経の調整、血流改善、ホルモンバランスの安定、自然治癒力の向上

薬と鍼灸を併用することで、一時的な症状緩和と長期的な体質改善という両側面からPMSにアプローチすることが可能になります。薬で症状を抑えつつ、鍼灸で身体の内側から整えることで、薬への依存度を減らし、より根本的な改善を目指せるのです。

4.2 薬と鍼灸の併用で得られる長期的なメリット

PMSの症状は、毎月の生理周期とともに繰り返されるため、その都度対処するだけでは根本的な解決にはつながりにくいものです。薬と鍼灸を併用することで、単一の治療法では得られない長期的なメリットが期待できます。

まず、PMSの症状が安定し、再発しにくい状態を目指せるという点が挙げられます。薬で症状の波を抑えながら、鍼灸で自律神経やホルモンバランスを整えることで、身体が本来持っている調整機能を高めることができます。これにより、PMSの症状が軽減されるだけでなく、症状が現れる頻度や程度が徐々に改善していく可能性があります。

次に、薬への依存度を減らし、心身ともに健やかな状態を維持しやすくなるというメリットがあります。鍼灸による体質改善が進むことで、薬を服用する頻度や量を減らせる可能性も出てきます。これは、薬の副作用が気になる方にとって、大きな安心材料となるでしょう。

また、PMSの症状は身体的なものだけでなく、イライラや気分の落ち込みといった精神的な不調も伴います。鍼灸は自律神経に働きかけることで、これらの精神症状の緩和にも寄与します。薬と鍼灸の併用は、身体的な辛さだけでなく、精神的な安定をもたらし、生活の質の向上に大きく貢献するでしょう

長期的に見れば、PMSに悩まされる日々から解放され、より自分らしく、充実した毎日を送るための大きな一歩となるでしょう。ご自身の体質や症状に合わせた最適な併用方法を見つけるためには、専門家との相談が重要です。

5. PMSの症状を軽減するためのセルフケアと生活習慣

月経前症候群(PMS)の症状は、薬や鍼灸による治療だけでなく、日々のセルフケアや生活習慣の見直しによっても大きく軽減することが期待できます。心身のバランスを整えることで、PMSの根本的な改善にもつながるでしょう。

5.1 食事と栄養でPMS対策

日々の食事は、PMSの症状に大きな影響を与えます。特定の栄養素を意識して摂取し、避けるべき食品を控えることで、体内のホルモンバランスや自律神経の働きを整え、不快な症状の緩和を目指すことができます。

5.1.1 PMS対策に役立つ栄養素と食品

PMSの症状緩和に特に注目したい栄養素とその具体的な食品を以下にまとめました。

栄養素期待される効果主な食品
ビタミンB6神経伝達物質の生成を助け、精神的な安定に寄与します。マグロ、鶏むね肉、バナナ、玄米、アボカド
マグネシウム筋肉の緊張を和らげ、イライラや頭痛、便秘の緩和に役立ちます。アーモンド、ほうれん草、海藻類、大豆製品、全粒穀物
カルシウム神経の興奮を抑え、精神的な安定や骨の健康を保ちます。乳製品、小魚、小松菜、豆腐
貧血によるだるさや集中力低下の改善に寄与します。レバー、ほうれん草、ひじき、赤身肉
食物繊維腸内環境を整え、便秘の解消や血糖値の急上昇を抑えます。野菜、果物、きのこ類、海藻類、豆類

5.1.2 PMS対策として避けたい食品

一方で、PMSの症状を悪化させる可能性のある食品もあります。これらの摂取を控えることで、体への負担を減らし、症状の軽減につながります。

  • カフェイン:コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、神経を興奮させ、イライラや不眠を悪化させる可能性があります。
  • アルコール:肝臓に負担をかけ、ホルモンバランスを乱すことがあります。また、睡眠の質を低下させる要因にもなります。
  • 糖分の多い食品:血糖値の急激な上昇と下降を引き起こし、気分の変動やだるさを招くことがあります。清涼飲料水やお菓子、菓子パンなどは控えめにしましょう。
  • 塩分の多い食品:むくみを悪化させる原因となります。加工食品やインスタント食品の摂取は控えることが望ましいでしょう。
  • 加工食品や脂質の多い食品:体内で炎症反応を促進し、症状を悪化させる可能性があります。

これらの点を踏まえ、バランスの取れた食事を心がけ、特に月経前は意識的に食生活を見直すことが大切です。

5.2 適度な運動とストレスマネジメント

PMSの症状には、心身のストレスが大きく関わっています。適度な運動と効果的なストレスマネジメントは、自律神経のバランスを整え、症状を和らげる上で非常に有効です。

5.2.1 PMSに良い運動習慣

激しい運動である必要はありません。無理なく続けられる軽い有酸素運動が推奨されます。これにより、血行が促進され、身体の緊張がほぐれるとともに、気分転換にもつながります。

  • ウォーキング:毎日20~30分程度のウォーキングは、手軽に始められ、心身のリフレッシュに効果的です。
  • ヨガやピラティス:深い呼吸とゆっくりとした動きが特徴で、自律神経を整え、心身のリラックス効果が期待できます。
  • ストレッチ:筋肉の緊張をほぐし、血行を促進します。特に月経前の身体のだるさや肩こりの緩和に役立ちます。

運動は、エンドルフィンという脳内物質の分泌を促し、精神的な安定にも寄与すると言われています。

5.2.2 ストレスを上手に管理する方法

ストレスはPMSの症状を悪化させる大きな要因です。日々の生活の中で、ストレスを溜め込まない工夫をすることが重要です。

  • リラックスできる時間を作る:趣味に没頭する、好きな音楽を聴く、アロマを焚くなど、自分が心から落ち着ける時間を持つようにしましょう。
  • 深呼吸や瞑想:数分間でも良いので、意識的に深く呼吸をしたり、心を静める瞑想を取り入れることで、自律神経のバランスを整えることができます。
  • 十分な休息:無理なスケジュールを避け、疲れを感じたら積極的に休息を取るようにしましょう。
  • 感情の吐き出し:信頼できる人に話を聞いてもらったり、日記に感情を書き出すことも、ストレス軽減に有効です。

自分に合ったストレス解消法を見つけ、実践することがPMSの症状軽減につながります。

5.3 良質な睡眠とリラックス方法

睡眠は、心身の健康を維持するために不可欠であり、PMSの症状にも深く関わっています。質の良い睡眠を確保し、日中にリラックスする時間を持つことで、自律神経の乱れを整え、PMSの症状緩和に役立ちます。

5.3.1 良質な睡眠を確保するための工夫

十分な睡眠時間だけでなく、その「質」を高めることが重要です。

  • 規則正しい睡眠サイクル:毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起床することを心がけましょう。これにより、体内時計が整いやすくなります。
  • 寝室環境の整備:寝室は、暗く、静かで、適切な温度(夏は涼しく、冬は暖かく)に保つことが理想です。遮光カーテンや耳栓、加湿器などを活用するのも良いでしょう。
  • 寝る前のリラックス習慣:就寝の1~2時間前に入浴し、体を温める、温かいノンカフェインの飲み物を飲む、軽い読書をするなど、心身を落ち着かせる習慣を取り入れましょう。
  • デジタルデバイスの使用を控える:就寝前は、スマートフォンやパソコン、テレビなどの強い光を発するデジタルデバイスの使用を避けることが推奨されます。ブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する可能性があります。

5.3.2 心身をリラックスさせる方法

日中のちょっとした時間や、一日の終わりにリラックスする時間を作ることも、PMSの症状緩和に役立ちます。

  • アロマテラピー:ラベンダーやカモミール、ゼラニウムなど、リラックス効果のあるアロマオイルを芳香浴や入浴時に使用することで、心身の緊張を和らげることができます。
  • 温かいお風呂に浸かる:ゆっくりと湯船に浸かることで、血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれ、リラックス効果が高まります。
  • 音楽鑑賞:心を落ち着かせるヒーリングミュージックや、自分が好きなジャンルの音楽を聴くことで、気分転換やストレス軽減につながります。
  • 軽いマッサージ:肩や首、足などを自分で優しくマッサージすることで、血行が促進され、リラックス効果が得られます。

これらのセルフケアや生活習慣の見直しは、PMSの症状を軽減し、より快適な毎日を送るための大切な一歩となるでしょう。

6. まとめ

月経前症候群(PMS)の辛い症状は、適切な対処法で和らげることが可能です。薬はつらい症状を速やかに緩和する役割を持ち、鍼灸は体の根本に働きかけ、体質改善を通じて症状の長期的な改善を目指します。これらを併用することで、それぞれの利点を最大限に引き出し、相乗効果によってより効果的な改善が期待できます。日々のセルフケアも症状軽減には不可欠です。ご自身の状態に合わせた最適なケアで、快適な毎日を目指しましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

この記事を書いた人

こんにちは。木氣治療室院長の石塚雅章です。痛みがない、病気になっていないから私は健康です、とは言えません。日常の動作や姿勢、生活習慣を見直し、予防しましょう。そして、体の不調がなく、趣味を長く続け幸せな生活を送っていただけるよう、サポートをしていきますのでよろしくお願いします。

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